こんにちは。飯綱町の宅建士、土倉進太郎です。
物件ウォッチ第2回は、弊社で取り扱っている飯綱町川上の平屋2LDK・1,800万円を取り上げます。
前回の普光寺の物件は「100万円+直す費用」で考える家でした。今回はその反対側、「大きく直さずに住み始められる」側の物件です。飯綱町の中古一戸建ての相場(約1,390万円/2026年8月時点)より高めのこの価格をどう読むか。良いところも注意点も、正直に書きます。
物件の基本情報
| 価格 | 1,800万円 |
| 所在地 | 長野県上水内郡飯綱町大字川上 |
| 建物 | 木造平屋建・2LDK(66.24㎡/約20坪)※登記面積 |
| 土地 | 1,030.00㎡(約311坪)※公簿 |
| 築年 | 2000年(平成12年)・築26年 |
| 設備 | 上水道・浄化槽・プロパンガス・電気 |
| その他 | 地下室・ウッドデッキ・庭・カーポート |
| 都市計画 | 非線引区域・用途地域の指定なし(建蔽率20%・容積率40%) |
| 交通 | しなの鉄道北しなの線 牟礼駅まで約9.9km |
| 現況・引渡し | 空家・即時引渡し可 |
| 媒介手数料 | 660,000円(税込) |
取引態様:媒介/株式会社ツチクラ住建(長野県知事(8)3771号) ※本記事は執筆時点(2026年9月)の情報です。すでに成約している場合はご容赦ください。
1,800万円をどう読むか
8月版の物件ウォッチで書いたとおり、飯綱町の売り物件は「直して住む空き家(100万〜500万円)」「リフォーム済みの再販物件(1,600万〜1,900万円)」「別荘地系」の3つに大きく分かれます。価格だけ見ると、この物件は2つ目の価格帯に入ります。
中身を見ると、築26年の平屋で、キッチンはシステムキッチン、浴室は1坪以上のユニットバス、トイレは温水洗浄便座付き。図面上の和室もフローリングに変わっています。水回りと内装に大きな手を入れずに暮らし始められる状態で、そこに311坪の土地が付く。これが1,800万円の中身です。
比べる相手は、前回の普光寺のような「安く買って直す」物件です。あちらは購入価格は安くても、住める状態にするまでの費用と時間、そして直してみないと分からない不確定要素を抱えます。こちらは入口の価格が高い代わりに、総額と入居時期が読みやすい。どちらが得かは、予算の組み方と、移住をいつ始めたいかで決まります。
なお、実際に必要なのは物件価格だけではありません。仲介手数料(66万円)、登記費用、不動産取得税などの諸費用に加えて、この物件では境界確認測量が買主負担です。資金計画は「1,800万円+諸費用+測量費」で組んでください。
間取りと室内

間取りは14帖のLDKを中心に、6帖の洋室が2部屋。玄関からLDK、水回りまでがコンパクトにまとまった、動線の短い平屋です。

LDKは天井・壁とも板張りで、窓の外は一面の緑です。2方向の掃き出し窓からそのままウッドデッキに出られます。




暖房と給湯は灯油が基本です。間取図には各部屋のFF暖房機と石油給湯器が記載されています。キッチンはプロパンガス。飯綱町では珍しくない組み合わせですが、都市部から移住される方は「灯油を買いに行く・タンクに入れる」という冬の家事が1つ増えることは知っておいてください。
地下室とウッドデッキ

この物件のもう1つの特徴が、地下室があることです。敷地の高低差を活かした造りで、LDKの外のウッドデッキは深い軒の下にあり、雨の日でも使えます。

地下室へは、外側の扉から出入りします。地下は湿気がこもりやすい場所ですが、現地で見た限り、これまで見てきた他の物件と比べて湿気はあまり感じませんでした。
田舎暮らしで意外と困るのが、物の置き場所です。冬用タイヤ、除雪道具、灯油タンク、アウトドア用品、畑の道具。延床20坪の平屋にとって、地下室は数字以上に効いてくる空間です。

正直に書く、この物件の注意点
① 延床約20坪はコンパクト
2LDK・66㎡は、夫婦2人や単身なら十分ですが、4人以上の家族には手狭です。一方で土地は311坪あり、建蔽率20%でも数字上は建築面積約206㎡まで建てられます。将来の増築や離れの計画は、法令・建築確認の確認を前提に検討の余地があります。
② 毎月・毎年かかるお金を見込む
下水道ではなく浄化槽なので、保守点検・清掃・法定検査の費用が毎年かかります。ガスはプロパン、暖房と給湯は灯油です。住宅ローンの返済額だけでなく、こうした維持費まで含めて月々の暮らしを試算しておくと安心です。
③ 車は必須
牟礼駅までは約9.9km。飯綱町は車社会なので駅距離はあまり気にしなくていい、というのは8月版でも書きましたが、買い物・通勤・通学はすべて車が前提になります。目安として、スーパーやコンビニまでは車で10〜15分、長野市街地までは30分ほどです。
④ 森の中の家ならではの手入れ
木々に囲まれた環境は、夏の涼しさと静けさという大きな魅力の裏返しで、落ち葉の掃除、湿気、日当たりへの配慮が要ります。写真でも分かるとおり、ウッドデッキや外部の木部は色あせが出てきているので、定期的な再塗装を見込んでください。
⑤ 契約条件:免責と測量
売主の契約不適合責任は免責です。引渡し後に不具合が見つかっても、原則として売主に修補や損害賠償を求められません。また、境界確認測量は買主負担です。どちらも「だから危ない」という話ではなく、契約前に自分で確かめる範囲が広い物件ということです。
現地で見たままの所感
現地に立ってまず感じたのは、とにかく静かなことです。隣の家は現在空き家で、庭も広く、人の目を気にせずに過ごせる環境です。
建物の状態はかなり良いと感じました。浄化槽の工事、和室(畳)のフローリング化、カーポートの取り付けはいずれも実施済みです。築26年ですが、きちんと手が入っている家です。
冬は除雪車が入ります。ただし、積雪は1.5〜2メートルになることもあるエリアです。道路は除雪車が開けてくれても、敷地内やカーポート・デッキまわりの雪は自分で片付けることになります。除雪機やスノーダンプの用意と、冬の雪かきは見込んでおいてください。
いちばんの推しポイントは「ちょうどいい大きさ」です。別荘としても定住としても持て余さないサイズで、特に1〜2人での利用におすすめです。別荘として購入し、使わない期間は宿泊施設として活用する、という使い方も考えられます(旅館業法の許可や住宅宿泊事業法の届出など、事前の手続きが必要です)。
向いている人・向いていない人
◎ 向いている人
- 大がかりなリフォームをせずに、早めに移住生活を始めたい人
- 夫婦2人・単身で、平屋のコンパクトな暮らしをしたい人
- 森の中の静かな環境で、デッキや庭の時間を楽しみたい人
- 地下室を倉庫・作業場として使いたい人
- 別荘・二拠点居住の拠点を探している人(使わない時期の宿泊施設活用も視野に)
△ 慎重に考えてほしい人
- 4人以上の家族で、部屋数が必要な人
- 駅や市街地へのアクセスを重視する人
- 庭木・デッキ・浄化槽などの維持管理に手間をかけたくない人
- 1.5〜2メートルの積雪への備え(雪かき)に不安がある人
宅建士メモ:契約前に確認すべきこと
- 境界確認測量の費用と期間:買主負担です。土地が広いので、契約前に見積もりを取って資金計画に入れます
- 建物状況調査(インスペクション):契約不適合責任が免責なので、床下・地下室・デッキの木部を中心に、専門家の目で見てもらうことをおすすめします
- 建築確認の時期:平成12年(2000年)は、木造住宅の構造基準が強化された2000年6月の前後にあたる年です。確認済証・検査済証の有無と日付を確認します
- 浄化槽:浄化槽工事は実施済みです。工事の時期と内容、浄化槽の種類(合併処理かどうか)、法定検査の記録を確認します
- 宿泊施設として使う場合:旅館業法(簡易宿所)の許可か住宅宿泊事業法の届出が必要です。消防設備や浄化槽の処理能力も含めて、購入前に要件を確認します
- 設備の年式:石油給湯器・FF暖房機・コンロなど、交換時期が近いものがないか把握しておきます
- 冬の雪対策:除雪車は入りますが、積雪は1.5〜2メートルになることもあります。除雪の範囲と、カーポートの耐雪性能を確認します
内見のときは、このあたりを一緒に確認しながらご案内しています。
お問い合わせ
物件の詳細・写真は、ツチクラ住建の物件ページに掲載しています。内見のご希望・ご質問は、物件ページのお問い合わせ、またはツチクラ住建(026-253-2109)までどうぞ。
物件ウォッチは、北信濃で売りに出ている空き家・中古住宅を、取扱い宅建士の目線でコメントするシリーズです。「買っていい家・慎重に考えたい家」の感覚を、実例で少しずつお伝えしていきます。

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